亡くなられた方の財産の中に自動車があった場合は、自動車の所有者が亡くなった時点で、その自動車は相続人の共有財産となります。1
自動車の所有者が変わった場合は、15日以内に登録しなければならないと法律で定められています。2
引き続き使用する場合はもちろん、廃車や売却を行う場合でも、自動車の名義を相続人に変更する必要があります。
このページでは自動車の相続手続きについて、名義変更の流れ、必要書類、注意点を業務歴20年の行政書士が解説します。
【要注意】相続手続をしないまま乗り続けるリスク
故人の名義のまま自動車に乗り続けることは、大変危険なことです。
法令に反する3だけでなく、交通事故などを起こした場合には、任意保険の補償が受けられない可能性があります。
また、自動車税の納付書はそのまま故人の住所地に送られてきます。
そのため、税金を知らないうちに滞納してしまったり、自動車のローン契約やリース契約についてトラブルになるケースも考えられます。
必ず必要な手続きを行いましょう。
【自動車の相続手続き】名義変更・車庫証明など必要な手続きの概要
普通車の場合
普通車4の相続で必要となる手続きは主に次の4つとなります。
自動車保管場所証明(車庫証明5)・届出6手続き
相続する方の保管場所の位置を管轄する警察署で手続きします。
同居のご家族が自動車を引き継ぐ場合など、使用の本拠の位置および保管場所の位置が変わらない場合は自動車保管場所証明は不要です。
相続する方の使用の本拠の位置が、適用除外地域にある場合も自動車保管場所証明は不要です。
ただし、使用の本拠の位置が変わらない場合でも、保管場所の位置が変わる場合は自動車保管場所届出が必要となります。
管轄警察署の確認や自動車保管場所証明の適用外地域の確認は以下のリンクをご参照ください。
【リンク:全国の車庫証明申請窓口(警察署一覧)】
移転登録7手続き(名義変更)
相続する方の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所で手続きを行います。
運輸支局・自動車検査登録事務所の確認は以下のリンクをご参照ください。
【リンク:運輸支局・軽自動車検査協会・希望番号予約センター一覧】
自動車税申告
管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所に隣接する都道府県税事務所で手続きを行います。
相続による所有権の移転の場合は、自動車税環境性能割8は非課税9です。
ただし申告の際に、相続関係が確認できる資料の提示を求められる場合があります。
自動車税種別割10は4月1日時点の所有者に課税11されます。
自賠責保険12及び任意保険の切り替え手続き
保険会社ごとに必要な手続きや様式が異なります。
保険証券をご確認のうえ、各保険の引き受け保険会社にご相談ください。
軽自動車の場合
軽自動車13の相続の際に必要な手続きは主に次の4つとなります。
自動車検査証記載事項変更申請
相続する方の使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会で手続きを行います。
軽自動車検査協会の確認は以下のリンクをご参照ください。
【リンク:運輸支局・軽自動車検査協会・希望番号予約センター一覧】
自動車保管場所届出
相続する方の保管場所の位置を管轄する警察署で手続きを行います。
同居のご家族が自動車を引き継ぐ場合など、保管場所が変わらない場合は不要です。
また、相続するる方の使用の本拠の位置が届出不要地域にある場合も手続きは不要です。
軽自動車の自動車保管場所届出の適用外地域は、以下のリンクでご確認ください。
【リンク:全国の車庫証明申請窓口(警察署一覧)】
軽自動車税申告
管轄する軽自動車検査協会に隣接する都道府県税事務所の出先窓口などで手続きを行います。
相続を原因とする申告の場合は、自動車税環境性能割は非課税です。
ただし申告の際に相続を証する資料の提示を求められる場合があります。
自動車税種別割は4月1日時点の所有者に課税されます。
自賠責保険及び任意保険の切り替え手続き
保険会社ごとに必要な手続きや様式が異なります。
保険証券を確認いただき、各保険の引き受け保険会社にご相談ください。
自動車相続手続の一般的な流れ
1.相続するお車の所有者を確認します。
まずは車検証14または自動車検査証記録事項15を確認しましょう。
お手元の車検証が電子車検証の場合は、券面には使用者の氏名しか表示されていません。
お手元に印刷された自動車検査証記録事項がない場合は電子車検証閲覧アプリでICタグの情報を閲覧し所有者を確認する必要があります。
電子車検証閲覧アプリのダウンロードや使用方法については以下の資料及びサイトをご参照ください。
【リンク 国土交通省 電子車検証特設サイト】
なお、電子車検証閲覧アプリが使用できる環境になく、登録時に交付された自動車検査証記録事項も見つからない場合は、最寄りの運輸支局等で自動車検査証登録事項証明書を取得することで内容の確認ができます。
お近くの自動車登録専門の行政書士事務所に電子車検証の原本を持込んで、内容の閲覧や自動車検査証記録事項の印刷を行うこともできます。16
資料:電子車検証
出典:国土交通省 電子車検証特設サイト


自動車検査証記録事項の所有者欄を確認し、所有者が亡くなられた方であることを確認します。17
ローン会社やリース会社が所有者欄に記載されている場合は、別途、ローン会社やリース会社に対する手続きが必要となります。
ローン会社やリース会社ごとに手続きの流れや必要書類が異なるため、詳細は各社に直接お問い合わせください。
ローンの支払い途中の場合は、残金を清算するか、債務の引継ぎ手続きを行ったうえで書類が交付されます。
主なローン会社等の連絡先は以下のサイトで確認できます。
【リンク:登録管理ネットワーク】
2.どなたが相続人であるか確認します。
亡くなられた方の戸籍事項証明書(戸籍謄本)等を収集し法定相続人を調査します。
戸籍事項証明書(戸籍謄本)等は亡くなられた方の本籍地の市区町村に請求します。
コンビニ交付に対応している市区町村では、現在の戸籍事項証明書は取得できますが、原戸籍謄本、改正原戸籍謄本、除籍謄本の取得は本籍地の市区町村の窓口でしか取得できません。
本籍地の市区町村の窓口へ郵送で請求することも可能です。
この場合、交付手数料は定額小為替などで支払います。
定額小為替はお近くの郵便局で購入できます。(一枚につき200円の発行手数料がかかります)
その他、マイナンバーカードを用いてオンライン請求ができる市区町村もあります。
この場合、手数料の支払いはクレジットカード若しくはスマホ決済で行い、1週間程度で送られてきます。
なお、戸籍関係書類は自動車の相続手続き以外にも、銀行口座の相続手続き、証券口座の相続手続き、不動産の相続手続きなど多くの相続手続きに必要となります。
同じ戸籍証明書を何セットも準備するには手間も費用もかかります。
自動車登録の際に運輸支局等に提出した戸籍関係書類は、コピー等を添付することで原本を返してもらう(「原本還付」といいます)ことができますが、原本を返してもらうまでは次の相続手続きが行えません。18
このような場合は法務局の「法定相続情報証明制度を」利用すると良いでしょう。
法務局の登記官が認証した相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を無料で何通でも交付してもらえます。
この法定相続情報一覧図は戸籍関係書類の代わりに各種の相続手続きに使うことができるため、大変便利です。
法定相続情報証明制度の詳細については以下のリンクをご参照ください。
【リンク:法務省 法定相続情報証明制度について】
3.遺産の相続方法を決めます。
まずは故人が遺言書(注)を残していないか、確認をしていきましょう。
遺言書の調査は主に次のような方法で行います。
- ・故人の遺産の中に残されていないかを調査します。
- ・公証役場に保管されていないか調査します。(公正証書遺言の有無の調査)
- ・法務局に保管されていないか調査します。(自筆証書遺言書保管制度の調査)
- ・銀行の貸金庫等に保管されていないか調査します。
- ・故人と親しかった友人や知人に預けられていないか確認します。
- ・遺言書の作成にかかわった可能性がある弁護士、司法書士、行政書士、信託銀行などに問合せします。
遺言書が残されていた場合は、遺言に添って相続していきます。
遺言書がない場合は、どなたがどのような遺産を引き継ぐかを相続人みんなで話し合って決めていきます。
【ケース1】遺言書がある場合
遺言書が見つかった場合でも、慌てて中身を確認することは厳禁です。
遺言書の作成方法により開封前の手続きが決められています。
公正証書遺言
公証役場で公証人に遺言内容を伝え、公正証書にした遺言です。
公証役場で厳重に保管されます。
家庭裁判所での検認手続きは不要です。
公証役場で謄本を請求することができるので、すぐに各種の相続手続きに添付ことができます。
自動車の相続手続きは公正証書遺言の謄本を添付することで可能となります。
公正証書遺言の詳細については日本公証人連合会のサイトをご参照ください。
自筆証書遺言
自筆でしたためられた遺言です。
遺言としての法律上の効果が認められるためには、所定の形式を厳格に守る必要があります。
また、相続人が開封する前に家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要があります。
検認を受ける前に遺言書の開封は法律で禁止されています。
検認前に開封した場合、遺言の内容が直ちに無効となるわけではありませんが、科料を課される場合があります。
遺言の内容を早く確認したいお気持ちは分かりますが、検認を受けるまでは開封しないように注意しましょう。
謄本は作成されませんので、原本紛失のリスクがあります。
また、検認を受けることで各種の相続手続きに使用できるようになりますが、そのたびに原本還付しなければならず、大変な手間がかかります。
同じ自筆証書遺言でも、法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」を利用することで検認の手続きは不要となります。
また、「遺言書情報証明書」を取得することができ、各種の相続手続きに使用することができます。
なお、「自筆証書遺言書保管制度」を利用した場合、遺言書の原本は原則返してもらえません。
自筆証書遺言書保管制度の詳細についてはこちらのサイトをご参照ください。
法務省 自筆証書遺言書保管制度
秘密証書遺言
内容を秘密にしたまま、遺言書の存在だけを公証役場が証明する遺言です。
開封前に家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要があることは自筆証書遺言と同じです。
遺言書の注意点
これら3種類の遺言書の作成にあたっては法律で厳格な方式が定められています。
方式どおりに作成されていない遺言書による遺言は無効となります。
遺言が無効となる場合には、改めて相続人同士で遺産分割協議を行い遺産の相続方法を決めます。
なお、これらの遺言書が見つかった場合でも、遺言書の内容で相続する自動車の特定ができない場合には、改めて、その自動車を特定できるように遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺言書がない場合
遺産分割協議を行います
遺言書がない場合は、どなたがどのような遺産を引き継ぐかを相続人みんなで話し合って決めていきます。
相続人の中に未成年者がいる場合は、親権者が代理して遺産分割協議を行います。
未成年者と親権者がともに相続人になるなど、利益相反関係となる場合は、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい遺産分割協議を行います。
相続人の中に行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい遺産分割協議を行います。
また、相続人の中に認知症などで意思表示ができない方がいる場合は、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい遺産分割協議を行います。
遺産分割協議書を作成します
遺産分割協議がまとまり、だれがどの遺産を引き継ぐか決まったら、相続人全員で「遺産分割協議書」を作成します。
遺産分割協議はすべての遺産について、まとめて一度に合意しなければならないわけではありません。
それぞれの遺産について個別に行うこともできます。
自動車の相続をいち早く行う必要がある場合は、以下の自動車の遺産相続専用の遺産分割協議書の書式をご利用ください。
遺産分割協議書のダウンロード(PDF)
4.必要書類を揃えます。
車庫証明・車庫届出の必要書類
車庫証明の管轄警察署、申請手数料、適用除外地域の確認はこちら
【リンク:全国の車庫証明申請窓口(警察署一覧)】
必要書類 | 入手先 | 備考 |
---|---|---|
普通車:自動車保管場所証明申請書 軽自動車:自動車保管場所届出書 | 警察署 | 各都道府県の警察本部HPでダウンロード可能 |
保管場所使用権原疎明書類 保管場所使用承諾証明書 自認書 土地建物賃貸借契約書のコピーなど | 警察署 | 各都道府県の警察本部HPでダウンロード可能 土地建物賃貸借契約書のコピーを添付する場合は記載内容が保管場所使用権原疎明書類としての要件を満たしていることが条件です |
保管場所位置図 | 各種地図サービス | 仕様の本拠の位置と保管場所の位置が同一の場合は省略可能 |
保管場所配置図 | 警察署 | 各都道府県の警察本部HPでダウンロード可能 |
委任状 | 相続人 | 行政書士に手続きを依頼する場合に必要 |
普通車の相続による移転登録・自動車税申告
普通車を相続する方の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所に申請します。
管轄地域の確認は以下のリンクを参照ください。
【リンク:運輸支局・軽自動車検査協会・希望番号予約センター一覧】
必要書類 | 入手先 | 備考 |
---|---|---|
OCRシート第1号様式 | 運輸支局・自動車検査登録事務所、自動車検査登録総合ポータルサイト | 相続を原因とする自動車の移転登録申請は自動車保有関係手続のワンストップサービスを利用できないため、窓口に出頭して申請します。 |
手数料納付書 | 運輸支局・自動車検査登録事務所、自動車検査登録総合ポータルサイト | |
自動車検査証 | 相続人 | 原本が必要です。 紛失している場合は先に再交付の手続きが必要です。 |
印鑑証明書 | 相続人 | 有効期限は交付より3か月以内です。 遺産分割協議書を添付する場合は相続人全員の印鑑証明書が必要となります。 |
遺産分割協議書 その他自動車の承継を証する書類など 遺産分割協議成立申立書 | 相続人 公証役場 法務局 家庭裁判所 | その他自動車の相続を証する書類は以下のようなものが有ります。 公正証書遺言書 自筆証書遺言書情報証明書 検認済みの自筆証書遺言書 検認済みの秘密証書遺言書 調停調書 確定証明付きの審判書など |
戸籍事項証明書、戸籍謄本 法定相続情報一覧図 | 本籍地の市区町村 法務局 | 必要となる書類の範囲については、自動車の承継を証明する書類の種類によって異なります。 |
自動車保管場所証明書 | 警察署 | 有効期限は交付より約1か月です。 |
自動車登録番号標 (ナンバープレート) | 相続人 | 自動車の管轄地域が変更となる場合や番号の変更を希望する場合に必要です。 |
廃棄標板返納書 | 標板交付代行者 | ナンバープレートを変更する場合に必要です。 ナンバー交付所に備え置かれています。 |
希望番号予約済証 | 希望番号予約センター | ネットでの予約も可能です。 申込から交付までに一定期間必要となります。【リンク:希望番号・図柄ナンバープレート申込サービス】 |
番号標交付請求書 希望番号標交付請求書 | 都道府県税事務所 (自動車税申告窓口) | 自動車税申告窓口で確認印を受け、標板交付代行者に提出します。 |
自動車税申告書 | 都道府県税事務所 (自動車税申告窓口) | 相続による名義変更であることを確認する資料の提示を求められる場合があります。 |
その他 登録識別情報 事業用自動車等連絡書 親権者同意書 保安基準緩和認定書 土砂等運搬大型自動車使用届出書 危険物貯蔵所設置許可証 道路維持作業用自動車等届出書 緊急自動車指定通知書 など | 運輸支局輸送課など | 自動車の種類や登録の内容によって追加して必要な書類があります。 |
委任状 | 相続人 | 行政書士に手続きを依頼する場合に必要となります。 |
軽自動車
軽自動車を相続する方の使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会に申請します。
管轄地域の確認は以下のリンクを参照ください。
【リンク:運輸支局・軽自動車検査協会・希望番号予約センター一覧】
OCRシート軽第1号様式 軽専用1号用紙 | 軽自動車検査協会窓口 軽自動車検査協会HP | 新規検査および継続検査を除く軽自動車の手続きは保有関係手続ワンストップサービスを利用できないため、窓口に出頭して申請します。 |
軽自動車検査証 | 相続人 | 原本が必要です。 紛失している場合は先に再交付の手続きが必要です。 |
使用者の住民票または印鑑証明書 | 相続人 | コピーも可です。 有効期限は交付より3か月以内です |
戸籍事項証明書、戸籍謄本 法定相続情報一覧図 | 本籍地の市区町村 法務局 | コピーも可です。 車検証記載の所有者が亡くなられたことが分かる資料と自動車を相続する方が法定相続人であることが確認できるもの。 |
車輌番号標 (ナンバープレート) | 相続人 | 軽自動車の管轄地域が変更となる場合や番号の変更を希望する場合に必要です。 |
廃棄標板返納書 | 標板交付代行者 | ナンバープレートを変更する場合に必要です。 ナンバー交付所に備え置かれています。 |
希望番号予約済証 | 希望番号予約センター | ネットでの予約も可能です。 申込から交付までに一定期間必要となります。 【リンク 希望番号・図柄ナンバープレート申込サービス】 |
番号標交付請求書 希望番号標交付請求書 | 都道府県税事務所(申告窓口) | 自動車税申告窓口で確認印を受け、標板交付代行者に提出します。 |
自動車税申告書 | 都道府県税事務所(申告窓口) | 相続による名義変更であることを確認する資料の提示を求められる場合があります。 |
その他 事業用軽自動車等連絡書 など | 運輸支局輸送課など | 自動車の種類や登録の内容によって追加して必要な書類があります。 |
申請依頼書 | 相続人 | 行政書士に手続きを依頼する場合に必要となります。 |
5.各窓口で手続きを行います
手続名 | 手続先 | 備考 |
---|---|---|
普通車:自動車保管場所証明申請 軽自動車:自動車保管場所届出 | 保管場所を管轄する警察署 | 使用の本拠の位置に変更がない場合は不要です。 使用の本拠の位置が適用除外地域、届出不要地域にある場合は不要です。 |
自動車移転登録申請 軽自動車検査証記載変更申請 | 普通車:使用の本拠を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所 軽自動車:使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会 二輪車:使用の本拠を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所 | 自動車を相続する方の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所・軽自動車検査協会に申請します。 |
自動車税申告 | 都道府県税事務所(申請窓口) | 通常は運輸支局・自動車検査登録事務所、軽自動車検査協会に隣接する出先機関に申告します。 |
任意保険の切り替え 自賠責保険の切り替え | 引受保険会社 | 手続の詳細は保険証検討を確認し、各引き受け保険会社にお問い合わせください。 |
簡易な手続き方法のご紹介
遺言書がない場合、普通車の相続による登録手続きは、故人と相続人の戸籍を全て収集した上で、遺産の分割協議を行い、相続人全員の印鑑証明を準備し、相続人全員が押印した遺産分割協議書を作成した上で行います。
そのため、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成に大変な手間と労力がかかります。
しかしながら、一定の条件を満たせば、相続を証明する書類を省略でき、印鑑証明書の取得や実印の押印も自動車を相続する方のみで済むなど、非常に簡単な方法で登録手続きを行う方法があります。
それが遺産分割協議成立申立書を使用した手続きです。
・自動車の評価価格が金100万円以下であること
・相続する自動車について遺産分割協議が終了していること
この手続きでは、自動車を相続する相続人以外の相続人の戸籍資料と印鑑証明書を省略できます。
必要となる書類は以下の通りです。
・遺産分割協議成立申立書
・故人の死亡日時が確認できる戸籍事項証明書等(戸籍謄本・除籍謄本)
・自動車を相続する方と故人との相続関係を証明する戸籍事項証明書等
・自動車を相続する方の印鑑証明書(交付より3か月以内のもの)
・相続する自動車の価格が100万以下であることを確認できる資料
遺産分割協議成立申立書の様式は以下の通りです。
遺産分割協議成立申立書(PDF)
この手続きが利用可能かの確認は管轄の運輸支局・自動車検査登録事務所が行政書士にご相談ください
ケース別Q&A
所有権留保車両を相続する場合は、ローン会社やリース会社から自動車を引き継がれる方への移転登録となり、手続きの外見上は相続による移転登録とは見えません。
そのため、自動車の年式が新しいく、課税標準額が50万を超える場合などは、税申告の際に環境性能割が非課税となる取引であることを証明する資料(戸籍謄本等)の提示を求められることがあります。(普通車・軽自動車共に)
課税標準額については各都道府県事務所にお問い合わせすることで確認できます。
遺産の調査は必須です。
現金預金や不動産などのプラスの遺産だけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの遺産も相続財産です。
安易に自動車の相続手続きを行うと、単純承認(民法第920条)とみなされ、限定承認(民法第922条)や相続放棄(民法第939条)などの制度が利用できなくなる恐れがあります。(民法第921条第1号)
単純承認とみなされた場合は、プラスとマイナスすべての権利義務を無限に承継することになるので、マイナスの遺産が多い場合などに不利益を被る恐れがあります。
また、普通車の簡易な相続手続きは、遺産分割協議が行われることを前提とした制度です。
相続人どうしの不要なトラブルにならないよう、正式な遺産分割の協議は必須です。
車検証が紛失している場合は、再交付手続きを行うことができます。亡くなられた方の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所または軽自動車検査協会にお問い合わせください。
ご自身での手続きが難しい場合や必要書類の収集に不安がある場合は、自動車登録に精通した行政書士にご相談いただくことで、スムーズかつ確実に再交付の手続きが可能です。
当事務所でも対応していますので、お気軽にご相談ください。
車検の期間が切れてしまっている場合は移転登録ができません。
継続検査を受けて車検期間を付与した後に移転登録する必要があります。
ただし、ナンバープレートを取り外し、移転登録と同時に一時抹消登録をする前提であれば、車検期間が切れていても名義変更を行うことができます。
再度、ナンバープレートを取り付けて、道路を走れるようにするためには、新規検査をうけ車検期間を付与して新たなナンバープレートの交付を受ける必要があります。
なお、一時抹消登録された自動車を相続する場合は、一時抹消時に交付された登録識別情報等通知書の所有者を変更する手続きを行います。
はい、できます。
ナンバープレートの記念所蔵手続きを行うことで記念にナンバープレートを持ち帰ることができます。
相続した自動車を自動車買取業者などに売却する場合は、事前にナンバープレートの記念所蔵手続きが利用可能か自動車買取業者などにお問い合わせください。
対応ができないと返答された場合は、買取事業者に自動車を引き渡す前に、番号変更手続きを行うことでナンバープレートの記念所蔵ができます。
【リンク:ナンバープレートの記念所蔵とは】
住民票記載の住所と本籍地が別々の市区町村であることはよくある事です。
故人の法定相続人であれば、故人の最後の住所地の市区町村役場で、本籍地および筆頭者の記載のある「住民票の除票」を請求し確認することができます。
その他、死亡届の本籍地欄を確認することでも確認ができます。
また、相続人のうちのお一人の戸籍事項証明書を取得し遡っていく事で確認することもできます。
令和4年1月より従来の車検証が廃止され、電子車検証に切り替わっています。
電子車検証の券面には自動車検査ファイルに記録された情報の一部しか表示されず、所有者情報は電子車検証のICタグに格納されています。
ICタグの情報は電子車検証閲覧アプリを利用することで閲覧することができます。
電子車検証閲覧アプリのダウンロードや使用方法については以下の資料及びサイトをご参照ください。
【リンク 国土交通省 電子車検証特設サイト】
なお、登録時に交付された自動車検査証記録事項でも所有者の確認ができます。
その他、最寄りの運輸支局等で自動車検査証登録事項証明書を取得することでも所有者の確認ができます。
まあた、お近くの自動車登録専門の行政書士事務所に電子車検証の原本を持込んで、内容の閲覧や自動車検査証記録事項の印刷を行うこともできます。
未成年者の親権者が代理人として遺産分割協議を行います。
未成年者と親権者がともに相続人である場合には利益相反関係となるため、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい遺産分割協議を行います。
相続人の中に行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人(注 民法第25条第1項)を選任してもらい遺産分割協議を行います。
また、家庭裁判所に申立し失踪宣告(注:民法第30条第2項)された場合は、行方不明者が生死不明となった日から7年後、または死亡の原因となる危難が去った日の1年後に死亡したものとみなされるため、その日以降に発生した相続については行方不明者を除いた相続人で遺産分割協議を行うことができます。
相続人の中に認知症などで意思表示ができない方がいる場合は、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい遺産分割協議を行います。
相談・サポート案内
サポート内容
当事務所では自動車の相続にお悩みの方に自動車登録専門の行政書士が以下のような手続きをサポートします。
- ・戸籍資料の収集、法定相続情報一覧図の作成
- ・遺産分割協議書、遺産分割協議成立申立書など添付書類の作成
- ・自動車保管場所証明申請・届出の申請
- ・普通車・軽自動車・二輪車の名義変更
- ・自動車税申告
- ・出張封印
専門家ネットワークにより、自動車登録・車庫証明・出張封印すべて日本全国対応いたします。
ご相談・お問い合わせはこちら

リンク:くるまの相続あんしんサービス
以下はこのページの注釈です。
- 民法第八百九十六条及び同法第八百九十八条 ↩︎
- 道路運送車両法第13条第1項、道路運送車両法第67条第1項 ↩︎
- 道路運送車両法第13条第1項、道路運送車両法第67条第1項、自動車の保管場所の確保等に関する法律第4条 ↩︎
- このページでは道路運送車両法第3条に規定する自動車の種別のうち普通自動車、小型自動車(二輪を除く)、大型特殊自動車を総称して「普通車」と表現しています。普通車は所有権の登録が必要なため「登録自動車」と呼ばれることもあります。 ↩︎
- この記事内では自動車の保管場所の確保等に関する法律第4条第1項の保管場所の確保を証する書面を「車庫証明」と表現しています。 ↩︎
- この記事内では自動車の保管場所の確保等に関する法律第5条の届出です。 ↩︎
- 道路運送車両法第13条第1項に規定 ↩︎
- 地方税法第145条第1号に規定 ↩︎
- 地方税法第150条第1号に規定 ↩︎
- 地方税法第145条第2号に規定 ↩︎
- 地方税法第177条の8に規定 ↩︎
- このページでは自動車損害賠償保障法第5条に規定する責任保険および責任共済のことを「自賠責保険」と表現します。自動車事故の被害者救済を目的とした保険で、法律により加入が強制されているため、「強制保険」と呼ばれることもあります。 ↩︎
- このページでは道路運送車両法第3条に規定する自動車の内、二輪の軽自動車を除く軽自動車を「軽自動車」と表現しています。 ↩︎
- このページでは道路運送車両法第58条第1項に定める自動車検査証のことを「車検証」と表現します。令和4年1月より交付開始(普通車)したICタグ付きの自動車検査証のことは「電子車検証」と表現します。 ↩︎
- 道路運送車両法第58条第2項に定める自動車検査証記録事項をA4サイズの紙に印刷したもので、電子車検証のICタグの情報が記載された書類です。自動車の登録時に交付されます。 ↩︎
- 一般財団法人自動車検査登録情報協会の自動車検査登録情報提供サービスを利用して登録番号および車台番号から自動車の登録情報を閲覧することはできますが、事前の利用申し込みが必要であったり、閲覧には自動車検査証登録事項証明を請求する場合と同様に正当な事由が必要であるため一般的な方法ではありません。 ↩︎
- Bタイプの車検証の自動車検査証記録事項には、所有者欄がなく、備考欄に所有者の情報が記載されています。 ↩︎
- 印鑑証明書については原本還付を受けることができません。 ↩︎